多能性、自己複製能を有する人工多能性幹細胞(iPS細胞)である。 そのため、iPS細胞は再生医療に役立つと期待されている。 しかし、iPS細胞は分化誘導しても、動物に移植すると悪性の未熟なテラトーマを形成する。 このテラトーマ形成には、分化誘導後に残るNanogを発現する未分化な細胞が関与していることが示唆されています。 そのため、この未分化細胞を除去する方法が種々検討されているが、細胞へのダメージが少ないと考えられる形態学的なアプローチによる方法はほとんどない。 また、iPS細胞由来の細胞が再生医療に応用されるためには、細胞が生きていることが必要です。 しかし、生きた未分化細胞の詳細な形態学的解析は行われていない。 以上の理由から、iPS細胞の臨床応用に向けた基礎検討として、分化誘導後に残存する生きた未分化細胞の形態的特徴を評価しました。 その結果、分化誘導後に残った生きた未分化細胞は、直径12μm程度の円形または楕円形の細胞質と核を有していた。 核-細胞質比(N/C)は約60%で、核は偏心しており、細胞質には部分的に顆粒状構造を持ち、核小体も顕著であった。 iPS細胞と似ているが、生きたiPS細胞より小さかった。 さらに、分化誘導後の未分化細胞には、非常に小さな細胞が存在していた。 これらの結果は、生きたiPS細胞と分化誘導後の未分化細胞の形態的特徴を利用して、未分化細胞の除去が可能である可能性を示唆している。 また、本研究は、iPS細胞を用いた安全な再生医療を支持するものである。