BIPM – SI基本単位(モル)

    化学の基本法則の発見以降、化学元素や化合物の量を表すのに「グラム原子」「グラム分子」といった単位が使われるようになった。 この単位は「原子量」「分子量」に直結しており、実際は相対的な原子量・分子量である。 最初の「原子量」は、酸素の原子量と結びついたもので、一般には16とみなされていた。 物理学者が質量分析計で同位体を分離し、16という値を酸素の同位体の1つに帰属させたのに対し、化学者は同じ値を16、17、18の同位体の混合物(わずかに変化する)に帰属させ、化学者にとっては天然に存在する元素酸素を構成していることになった。 しかし、1959年から1960年にかけて、国際純正・応用物理学連合(IUPAP)と国際純正・応用化学連合(IUPAC)の間で、この二元論に終止符が打たれることになった。 物理学者と化学者は、質量数12の炭素の同位体(炭素12、12C)のいわゆる原子量(正しくは相対原子量Ar)に、12という値を正確に割り当てることに合意したのである。 こうして得られた統一尺度は、それぞれ相対原子質量と相対分子質量(原子量と分子量ともいう)を与える。 この一致はモルの再定義に影響されない。

    化学者が化学元素や化合物の量を特定するために用いる量を「物質量」と呼ぶ。 物質量(記号n)は試料中の特定元素の数Nに比例すると定義され、比例定数はすべての物質について同じである普遍定数である。 比例定数はアボガドロ定数NAの逆数であり、n=N/NAとなる。 物質の量の単位はモルと呼ばれ、記号はmolである。 IUPAP、IUPAC、ISOの提案を受けて、CIPMは1967年にモルの定義を作成し、1969年に炭素12のモル質量を正確に0.012kg/モルと規定し、その定義を確認した。 これにより、実体Xの純粋な試料Sの物質量nS(X)は、試料の質量mSと実体Xのモル質量M(X)から直接求められるようになり、アボガドロ定数を正確に知る必要なく、相対原子質量Ar(原子量または分子量)からモル質量が決定されるようになりました。 nS(X) = mS/M(X), M(X) = Ar(X) g/mol

    したがって、このモルの定義は、キログラムのアーティファクトな定義に依存していたのである。

    このように定義されたアボガドロ定数の数値は、12グラムの炭素12に含まれる原子の数に等しかった。 しかし、近年の技術進歩により、この数値が正確にわかるようになったため、より簡単で普遍的なモルの定義、すなわち、あらゆる物質の1モルに含まれる実体の数を正確に特定し、アボガドロ定数の数値を固定することが可能となった。 これにより、モルの新しい定義とアボガドロ定数の値は、もはやキログラムの定義に依存しなくなったという効果がある。 これにより、「物質の量」と「質量」という根本的に異なる量の区別が強調されることになった。 アボガドロ定数,NAの固定数値に基づく現在のモルの定義は、第26回CGPM(2018)の決議1において採択された。

    • 26回CGPM(2018)の決議1; Metrologia, 2019, 56, 022001

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