Case
Myelodysplastic syndromeの既往がある79歳の男性が当院血液内科に来院しました. 上腹部痛で当科に紹介された。 輸血歴はなかった。 また、喫煙、飲酒歴はなかった。 白血球12,460/μL,赤血球513×104/μL,ヘモグロビン16.1 g/dL,血小板15.3×104/μL,総ビリルビン0.8 mg/dL,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ50 U/L,アラニンアミノトランスフェラーゼ62 U/L,アルカリホスファターゼ303 U/L,γ- グルタミルトランスフェラーゼ199 U/L,albumin 4.2 g/dL, prothrombin time 98.0 %である. B型肝炎ウイルス表面抗原およびC型肝炎ウイルスに対する抗体検査は陰性であった. 血清α-フェト蛋白は254 ng/mL,血清CA19-9,CEA,ビタミンK欠乏による蛋白は正常範囲内であった. 腹部CTでは、第8節に早期増強と後期消失を伴う15 mmの高減衰を認めた(図1a、b)。 図1
CTによる肝細胞癌を伴う左肝葉の先天性障害。 b 遅延相では血管の少ない腫瘤を示す。 c 腹部CTでは左肝葉の非存在を示す
コンピュータ断層撮影(CT)の結果、肝左葉が存在しないことがわかった(図1c)。 磁気共鳴画像(MRI)では、第8節(S8)に15mm、第7節(S7)に8mmの結節を認めた。 両腫瘍とも拡散強調画像で高輝度(図2a、b)、肝細胞相で低輝度(図2c、d)であった。 上腸間膜血管造影では右肝動脈と右肝葉が確認されたが(図3a)、腹腔鏡血管造影では肝の領域は確認されなかった(図3b)。 三次元CTでは左肝動脈、左門脈、左肝胆道系が欠如していた(図3c)