氷の融解に対する添加塩(NaCl)の効果を分子動力学シミュレーションにより研究した。 シミュレーションで観察された平衡凝固点降下は実験データとよく一致した。 融解の動力学的側面を氷と液相の間の水分子の交換の観点から検討した。 氷/液平衡は、氷と液相の間で頻繁に水分子が交換される、非常に動的なプロセスである。 氷の融解時にはこのバランスが崩れ、短時間で氷表面への水分子の結合が阻害され、その後、長時間で氷表面からの水分子の解離が進むという2段階の融解が進行する。 また、融解時にはNa+イオンよりもCl-イオンの方が界面領域により深く入り込むことがわかった。 この研究は、不凍タンパク質による氷の成長抑制など、他のプロセスにも有用な融解の動力学的側面の理解を提供するものである
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