心の哲学

アリストテレスは心理学を自然哲学の一部とみなし、心の哲学について多くの著作を残している。 この内容は倫理的な著作や、魂の性質に関する体系的な論文『デ・アニマ』、感覚・記憶・睡眠・夢などに関する多くの小著に現れています。

ホメロスの胸像を観賞するアリストテレス レンブラント・ファン・レイン作 油彩・キャンバス 1653年 ニューヨークのメトロポリタン美術館に所蔵されています。

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生物学者アリストテレスにとって、魂は、プラトンの著作の一部でそうだったように、卑しい肉体に収められた、より良い世界からの追放者ではありません。 魂の本質は、有機的な構造との関係によって定義される。 人間だけでなく、獣や植物にも魂があり、動物や植物の生命の本質的な原理である。 アリストテレスは、魂とは「生命を持つ肉体の実在」であり、生命とは自給自足、成長、繁殖の能力を意味する、と述べている。 生命体を物質と形態の複合体と見なすならば、魂は自然体の形態であり、アリストテレスが言うように有機的な体である。 有機体とは器官、すなわち哺乳類の口や木の根のような特定の機能を持つ部分を持つ体のことである

生物の魂はアリストテレスによって階層的に並べられている。 植物は、成長、栄養、生殖の力からなる植物的または栄養的な魂を持っている。 動物にはさらに、知覚と運動の力がある。動物は感受性の魂を持ち、すべての動物は少なくとも一つの感覚能力を持つが、触覚は最も普遍的なものである。 触覚は最も普遍的なものである。感覚を持つものはすべて喜びを感じることができる。 さらに人間は、理性と思考の力(logismos kai dianoia)を持っており、これは理性的な魂と呼ぶことができる。 3477>

アリストテレスの理論的な魂の概念は、彼以前のプラトンや彼以降のルネ・デカルト(1596-1650)のそれとは異なっている。 アリストテレスにとって魂とは、肉体に作用する非物質的な内部作用者ではない。 魂と身体は、印章の印影がそれを押した蝋と異なるように、互いに異なるものではないのだ。 さらに、魂の各部分は能力であり、それらはその作用と対象によって互いに区別される。 成長する力は感覚する力とは異なるが、それは成長することと感じることが二つの異なる活動だからであり、視覚は聴覚とは異なるが、それは目が耳と異なるからではなく、色が音と異なるからである

感覚の対象には、色、音、味、匂いなどの特定の感覚に固有のものと、運動、数、形状、サイズなどの複数の感覚で認識できるものと、二つの種類がある。 例えば、何かが動いているかどうかは、それを見ても感じてもわかるので、運動は「共通の感覚」である。 共通感覚を感知する特別な器官はないが、アリストテレスが “中心感覚 “と呼ぶ能力が存在する。 例えば馬に出会ったとき、人はそれを見、聞き、感じ、嗅ぐかもしれないが、これらの感覚を一つの対象についての知覚に統一するのが中心感覚である(ただし、この対象が馬であるという知識は、アリストテレスにとって感覚よりもむしろ知性の機能である)

五感と中心感覚のほかに、アリストテレスは、後に「内感」として一緒にまとめられる他の能力、特に想像力と記憶力を認めている。

認識能力である感覚と同じ階層に、自発的な感情の場である感情能力も存在する。 これは魂の一部であり、基本的に非合理的であるが、理性によって制御することが可能である。 欲望と情熱の場所であり、理性の支配下に置かれると、勇気や節制といった道徳的美徳の座となる。 魂の最高位は、心または理性であり、思考と理解の場である。 思考は感覚的な知覚とは異なり、地球上では人間の特権である。 思考は感覚と同じく判断の問題であるが、感覚は特殊なものであるのに対し、知的知識は普遍的なものである。 3477>

『アニマ』の難解な一節で、アリストテレスはさらに二種類の心の区別を導入している:一つは「万物になる」ことができる受動的なもの、もう一つは「万物を作る」ことができる能動的なものである。 能動的な心は “分離可能、不可分、混じりけなし “であるという。 古代や中世では、この一節は全く異なる解釈の対象であった。 特にアラブの論者たちは、分離可能な活動主体を神や他の超人的な知性に見立てた。 3477>

もし第二の解釈が正しいならば、アリストテレスはここで肉体から分離可能で不滅である人間の魂の部分を認めていることになる。 ここにも他の場所にも、アリストテレスには、彼の標準的な生物学的な魂の概念に加えて、知性が肉体から分離可能な別個の存在であるとするプラトン主義の考え方が残っていることが見て取れるのである。 アリストテレスの思想における生物学的な系統と超越的な系統の間の完全な和解は、誰も成し遂げていない

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