中枢神経系トキソプラズマ症の画像診断

トキソプラズマ症はHIV感染者で最もよく遭遇する脳腫瘍性病変であり,AIDS流行開始以来その発生率は著しく上昇している. CNS toxoplasmosisは,時に標準的な画像診断では診断が困難あるいは不可能な異常な外観を示すことがある。 MRスペクトロスコピーの出現により、さまざまなCNS病変を区別する能力が向上した。 T1強調前造影MRIでは、病変は脳組織に対して低輝度である(下の画像に示すように)。 T2強調MRIでは、感染巣は通常高輝度であるが、時に等輝度から低輝度であることがある。 4234>

ヒト免疫不全ウイルスおよび脳性トキソプラズマ症に感染した患者の非強化T1強調画像。 低輝度、非対称、両側の脳室周囲/基底核病変を示す画像である。

活動性病変はしばしば浮腫に囲まれている。 ガドリニウム増強後、約70%の患者に局所的な結節性または環状増強(下の画像に示すように)が起こる。 4234>

32歳のヒト免疫不全ウイルス感染症患者の第4脳室レベルでのT1強調ガドリニウム強調MRI画像。 右前頭頂部リング状増強病変(矢印)を示す。 この患者は孤立性空間占拠性病変を呈し,トキソプラズマ症に続発することが確認された.

ヒト免疫不全ウイルス感染症患者(37歳)の基底核レベルにおけるT1強調軸方向ガドリニウム強調MRI画像。 画像は右側の基底核に2つの複雑なリング状増強病変を示し,周囲に顕著な白質浮腫が認められる。 脳の他の場所にも病変が認められる。 このような外観は、大脳基底核を侵す傾向のある中枢神経系トキソプラズマ症に典型的である。
基幹神経節を通る2レベルのT1強調軸方向ガドリニウム強化磁気共鳴画像(前の画像と同じ患者)。 右側の大脳基底核に2つの複雑なリング状の病変があり、周囲に顕著な白質浮腫が認められる。 このような外観は中枢神経系のトキソプラズマ症に典型的であり、大脳基底核に病変が生じる傾向がある。

先に述べたように、Fellnerらは、脳内腫瘍を模した単眼性トキソプラズマ症を呈し、AIDSの証拠がない患者の症例を報告した。 患者のCTスキャンとMRIでは右頭頂葉に単発の腫瘍様病変が認められたが,手術では腫瘍は発見されなかった。 4234>

AIDS患者におけるリンパ腫のMRスペクトロスコピーは、乳酸と脂質のピークの増加、顕著なコリンピーク、N-アセチルアスパラギン酸、クレアチン、ミオイノシトールのシグナルの減少を示すことが示されている。 このパターンは、一般的に乳酸と脂質のピークが上昇し、他の代謝物が認められないトキソプラズマ症のパターンとは異なります。 リンパ腫は見かけの拡散係数が低い傾向があり、これはリンパ腫病変よりも有意に大きな値を示すトキソプラズマ症とは異なる。

DSC(Dynamic susceptibility contrast)MRIの相対脳血液量(rCBV)所見は、従来の造影MRI所見で結論が出ない場合に、CNSトキソプラズマ症とリンパ腫の鑑別に有用である可能性がある。 25病変の患者13例を対象としたレトロスペクティブスタディにおいて,すべてのトキソプラズマ症病変の平均平均rCBVは0.98(95%CI,0.55-1.41)であったが,すべてのリンパ腫病変では2.07(95%CI, 1.71-2.43) と有意差があった(1.09;95%CI, 0.53-1.65,P=0.0013 ). 各患者のrCBVに基づく病状を評価するために3つのモデルを使用し、有意な関係が認められ、各モデルでリンパ腫とトキソプラズマ症を区別するための最適なrCBV閾値は約1.5であった。

ガドリニウム系造影剤は、腎性全身性線維症(NSF)または腎性線維化皮膚症(NFD)の発症と関連があるとされた。 この疾患は、MRIまたはMRAスキャンを強化するためにガドリニウム系造影剤を投与された中等度から末期の腎臓病の患者さんにおいて発症しています。 NSF/NFDは衰弱しやすく、時に致命的な疾患です。 特徴としては、皮膚の赤色または黒色の斑点、皮膚の熱感、かゆみ、腫脹、硬化および硬化、白目の黄色い斑点、腕、手、脚、または足を動かしたり伸ばしたりするのに困難を伴う関節の硬直、腰骨または肋骨の深部の痛み、および筋力の低下が挙げられます。 詳細はMedscapeをご覧ください。

脳室周囲上衣強化

Guerini et alの研究では、成人における脳室周囲上衣強化の重要性について述べ、この所見は迅速な医療処置を必要とする基礎病理を示唆することがあるとしています。 著者らは,脳室周囲造影のパターンを報告し,指摘した特徴を基礎とする感染症または腫瘍の病因を明らかにした。 さらに、各患者の鑑別診断は、患者の免疫状態や治療に対する反応、MRIで見られた増強の種類から導き出されたものであった。 鑑別診断には、腫瘍(例:リンパ腫、上衣腫、胚細胞腫瘍、または転移)、ウイルス性上衣炎(例:サイトメガロウイルス、水痘-帯状疱疹ウイルス)、トキソプラズマ症、細菌または結核性脳室炎が含まれる。

T2-weighted images to measure therapeutic response

Brightbill らは、T2-weighted MRI スキャンで見る病変におけるトキソプラズマ脳炎の外観は非常に多様で、信号強度特性のみに基づいて確定診断に達することはできないと結論付けている。 実際、T2強調の高輝度は壊死性脳炎と病理学的に相関し、T2強調の等輝度は組織化膿瘍と相関しているようであった。 さらに彼らは、内科的治療を受けている患者では、T2強調から等強度へのMRIの出現は、抗生物質治療に対する好反応の機能としての過渡的変化である可能性があると推測している。 したがって、信号強度の変化は、内科的治療の効果を判定する手段となるかもしれない。 さらに、FLAIR(fluid-attenuated inversion recovery)信号の変化を評価しやすくすることで、同様の方法で使用することができる。 4234>

ヒト免疫不全ウイルスと脳性トキソプラズマ症に感染した患者さんの軸流体減弱反転回復脳磁気共鳴画像です。 感染部位に強い信号が認められる画像です。

出生前画像診断

D’Ercole らは,超音波診断の結果が不確定あるいは不完全な場合,胎児脳のMRIは胎児脳欠損の確認あるいは除外に使用できると結論付けている。 D’Ercoleらは、MRIが超音波検査による胎児脳欠陥の証拠を検証した31例を検討した。 胎児の組織学的研究または出生後のX線検査によって超音波診断の証拠が確認されたのは21例であり、MRIによって超音波診断が否定されたのは10例(乳児は健康に生まれた)、超音波診断で脳室周囲石灰化を示した大脳トキソプラズマ症1例ではMRIは正常であった。 しかし、20例のうち4例は病変の正確な性質を決定するために胎児解剖を必要とした。

Degree of confidence

The asymmetrical target sign is highly suggestive of CNS toxoplasmosis, but it is only detected in 30% of patients.All rights reserved. 患者の免疫状態の変化に関連すると思われる他のMRIパターンはそれほど特異的ではなく、さまざまなCNS感染症やリンパ腫によって模倣されることがある。

CNSリンパ腫病変はしばしば単発であるが、CNSトキソプラズマ症の結節はより頻繁に多発する。 3個以上の病変または細長いリング状の増強病巣が見られる場合、または顕著な浮腫が見られる場合は、リンパ腫の診断よりもトキソプラズマ症の診断が有利である。 さらに、トキソプラズマ症はリンパ腫よりも皮質下に多く、脳梁を冒すことはほとんどない。

髄膜または上衣の関与は、リンパ腫または他の感染症などの他の疾患を検索するよう促すべきである。 トキソプラズマ症髄膜炎が報告されているが、極めてまれである。 髄膜周囲の浮腫の程度は、患者の炎症反応の能力と直接相関しています。 浮腫が大きいほど、炎症反応も大きくなり、予後も良くなります。 4234>

Differential diagnostic problems with CT scanning and MRI

Miguel et alは、CTスキャンとMRIによる鑑別診断の問題という観点からCNS toxoplasmosis患者14人の画像調査を検討した。 これらの所見はAIDS患者のCNS腫瘤病変に対する特異性は低いが、著者らは他の疾患よりもCNS toxoplasmosisに典型的なある特徴を指摘した:95%近くの病変が円形で環状または結節性増強を示し、81.3%が複数の病変を含み、60.2%が大脳皮質または皮質髄質接合部に局在し,100%が少なくとも1個の病変を有し,約35%が直径1cm未満であった。

非強調CTスキャンでは病変の91.3%が低輝度であり,T2強調MRIでは53.4%が少なくとも1個の点低強度域を有していた。 T2強調MRIで観察された病変の29%は、低輝度中心を持つ標的型病変の存在を含み、CNSトキソプラズマ症の診断が示唆された。 著者らは、この所見はこれまで報告されていないと考えている。 Miguelらはまた、非強化CTスキャンでの等減衰または高減衰病変の存在や不規則な形状の病変はCNSトキソプラズマ症ではまれであり、CTスキャンやMRIでの単独病変の出現それ自体はCNSトキソプラズマ症の鑑別診断の良い基準とはならないことを指摘した。

MRI所見の陽性的中率

toxoplasmosisの陽性的中率は、複数の病変と質量効果または造影の複合出現(23例)、あるいは基底核または視床に少なくとも1つの空間占有性または増強性病変がある例(26例)で100%とした。 また,腫瘤効果や造影効果を有する孤立性病変もみられ(26例),22例(84.6%)では脳性トキソプラズマ症が原因であった. さらに,1個以上の非増強,非腫瘤性病変がPML患者9例中8例に認められたが,このパターンはPMLの予測値としては47.1%であった. 著者らは,本研究の疫学的背景から,HIV-1血清陽性患者における特異的画像所見は,脳性トキソプラズマ症の高い予測因子であると結論づけた. 4234>

脳性トキソプラズマ症の再発は、CTスキャンでもMRIでも持続的な造影と相関があると報告されている。 初発のトキソプラズマ症に対する治療を受けた患者において、そのような持続的な造影の領域が示されることは、再発の危険性があることを示す貴重な徴候となりうる。

MRI所見の相関

HIV感染症例におけるT2強調およびT1強調MRIの病理所見を、ホルマリン固定した脳11例を0.5Tで評価した結果、PML2例、toxoplasmosisおよびリンパ腫各1例の病理所見とMRIに認められた白質異常の程度はおおむね一致した。 しかし、全体としては、組織学的変化がMRI上の病変よりも多く、従来のMRIで多発性結核性肉芽腫、多核巨細胞、ミクログリア結節、血管周囲のcuffing、サイトメガロウイルス封入体を認めなかった症例も含まれていた。 一方,6例のT2強調MRIで共通して認められたのは,基底核の点状または斑状の高輝度であった.

Revel たちは、過去にトキソプラズマ症の診断を受け、その後治療を受けたAIDS患者5人の画像所見を報告した。 CNS感染後約6カ月で得られた非強化CTスキャンでは、高減衰性病変が認められた。 5例中4例において,CTスキャン上の高減衰領域はT1強調MRI上でも高い信号強度を示していた. 4例中2例では病理学的検査で出血が確認された。 4234>

AIDSの12例を対象とした別の研究では、脳の放射線所見(MRIとCTスキャン)と病理所見に相関が見られた。 BalakrishnanらはHIV脳症,原発性リンパ腫,トキソプラズマ症を各3例,クリプトコックス症,サイトメガロウイルス感染症,PMLを各1例挙げている。 MRIはCTに比べ頭蓋内の病変を明瞭に描出することができ,MRIの特徴からHIV脳症は他の病変,特にPMLと区別することができた. 日和見感染症や原発性リンパ腫では基底核が最もよく侵される部位であることがわかったが,クリプトコックス病変の特異な外観を除いて,基底核の病変間の信頼できる識別特性は見いだせなかった。 4234>

MRIは脳病変の鑑別に不可欠な役割を担っています。 脳性トキソプラズマ症では、さまざまなMRIパターンが報告されている。 T2強調画像で同心円状に高輝度帯と低輝度帯を有する “concentric target sign “は、よく知られた “eccentric target sign “よりも同心円状に低輝度と高輝度の交互帯を有する脳性トキソプラズマ症の診断に特異性があると信じられている。 Mahadevanらは、AIDS関連脳性トキソプラズマ症の40歳男性の死後所見にこのような徴候が相関していた症例を報告した。 低輝度、高輝度、等輝度の同心円状の交互ゾーンは、それぞれ出血/浮腫を伴うフィブリンリッチ壊死/凝固性コンパクト壊死/泡状組織球が混在する炎症のゾーンに対応し、出血が一番外側のゾーンを形成していた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。